葛布 くずふ~作品名「鱗雲」
素材を感じ色を感じる
古来より人が自然と向き合い共存の中で育まれた古代の布
手仕事から生み出される自然布
その素朴さと温もり
琉球藍と丹殻で染め上げられた天然の色彩美
オールシーズンご使用可能です。
11/1(月)10時迄の期間限定販売
【製造元】大井川葛布 静岡県
【品質】緯糸 葛・絹(赤城座繰り糸) 縦糸 絹100%(赤城座繰り糸)
【染色】草木染 琉球藍・丹殻
【着用時期】オールシーズン
【長さ】約500cm
自然の恵みから頂いた植物繊維に人の手で命を吹き込み織り上げられた葛布 九寸名古屋帯。丹殻(マングローブの一種)で、ほんのり赤味のあるシルバーグレーに染め上げられた植物「葛」琉球藍で染め上げられた赤城座繰糸を用いて手織りされた自然布は角度によって藍色が強く出たりグレーに見えたり変化のある豊かな表情を漂わせ、涼やかでもあり温かみも感じさせる何とも言えない不思議な色合いなのです。
※琉球藍は沖縄の「琉球藍製造所」で作られた泥藍を用いて大井川葛布さんで染められています。
藍色を空に、葛を雲に見立てられた「鱗雲」という作品名は、本品の魅力を見事に表現されているのではないでしょうか。
薄手で軽く適度な張りのある風合いは、葛のパリッとした天然の素材感に絹のしなやかさが融合し 単衣から夏の装い また袷の季節まで一年を通じてお使いいただけます。実際に使われている方は1年通じてタンスに直す時が無いほどに重宝しているというほどです。
6,000年の時を超えて今尚人の心を揺さぶり続ける古代布「葛布」古代より人間の衣服や身の回りの生活を支えてきたのは葛であり麻であり又 藤や榀と言った植物でした 植物を採取し皮を剥ぎ糸を作る そして手織りで布に仕上げる。その全ての工程を手仕事によって行われたものを自然布と呼びます。産業の発達 や生活様式の変化により全ての自然布は手間暇がかかる事から衰退し非常に希少で高価な物になってしまいました。庶民の生活に密着していた布が今では手の届きにくいものになってしまったのです。それでも人は自然布に魅かれ手に取った時の心地良さに酔いしれてしまうのです。
葛という植物は珍しいものでは有りません 春に芽を出し凄い繁殖力で夏に向けて蔓を伸ばします。全国的に生殖していますので皆さんも夏になると必ずと言って良いほど目にされると思います。道路脇の斜面などに葉を付けて生えているあれです。また秋には藤に似た赤い花を咲かせ秋の七草としても有名です。根っこは葛粉や葛根湯などになります。
この葛を採取し蔓の中から繊維を取り出し糸にして手織りされたのが葛布です。
自然布には藤布や榀布 また芭蕉布などが有名ですが それらは縦糸 緯糸共にその糸を用いられていますが 葛布は緯糸に葛糸をそして縦糸には絹や麻 木綿など他の天然繊維から作られた糸を用いるのが一般的です。(※本品の経糸および緯糸の一部は赤城座繰された絹糸が用いられています) 夏の物には麻を冬には木綿をなどと使い分けていたのかもしれません。葛糸そのものは非常に軽く強靭でかつ速乾性があるため昔は武士の鎧下にも用いられ 防水性にも優れていることから道中合羽としても利用されていました。
また貴族の喪服や装束としても使用されており 現在でも蹴鞠行事の蹴鞠袴として使用されています。
葛布の特徴の1つは無撚糸である事があげられます。通常糸は撚り(回転)が掛けられますが葛布は平坦な平糸のまま手織りによって緯糸に打ち込まれます。この糸が平坦であることが艶やかな光沢を生み出すのです
そして 葛布が他の自然布と異なる特徴が 糸を結んで繋いでいくことです。他産地の自然布は結び目が出来ないように撚りによって糸を繋いでいきます。よって葛布には結び目による節が生地の表面に所々現れてそれが変化のある表情をかもし出すのです。
工程の中では皮を剥ぐ前に茹でた蔓をススキで作った室で発酵させることが他産地とは異なります。発酵させることで細菌が皮を食べ 水の中で皮を綺麗に剥ぐことが出来ます。そして繊維を適度な太さに手で裂いていき 結び繋いで糸が完成します。
手織りで製織した最後に砧打ちにより繊維を柔らかくして仕上げられます。
※糸を繋ぐときの結び目が所々現れています。
葛布の歴史
約6,300年昔 紀元前4,300年頃に中国の遺跡から見つかったものがアジア最古の葛布だと言われています。日本のおいても古墳時代の頃には既に製織されていた形跡が出土品の中から見つかっています。
戦国時代から江戸時代まで 貴族の装束や武士の裃など様々な用途に使用されてきた葛布ですが 明治に入り 武士階級の消滅や貴族の洋装化により急激に需要が縮小してしまいました。ところが江戸時代から表装としても用いられていたことから襖地(ふすまじ)の製造にシフトしていくとともに葛布を染色し紙を裏打ちして壁紙として欧米へ輸出されるようになりました。「グラスクロス」として非常に人気を博し明治43年には年間12,600反(一反=36インチ8ヤード)の生産を記録したほどです。静岡県を中心に生産されていた葛布は 掛川周辺で原料を採取していましたが それでは追い付かずに栃木県や茨城県、福島県など各地で原料を作るようになりました。大正の中頃には朝鮮半島に出向いて葛苧(くずお=糸の前段階の繊維の状態)の作り方を教えて仕入れる業者も現れました。日中戦争や太平洋戦争により衰退するとともに 朝鮮からの葛苧の輸入も途絶えていましたが 静岡県、栃木県 茨城県 岐阜県などに葛苧の生産を委託し壁紙の生産が復活されました。
昭和27,8年頃にはアメリカでの人気が高まり韓国から葛苧の輸入が始まり最盛期には9割の葛苧が輸入に頼るものでした。
しかし韓国では昭和36年の政権交代をきっかけに自国の葛布産業に目を付けた韓国政府が原料の輸出を禁止したために日本国内の葛布産業は大打撃を受けたのです。
それまで葛布業者40軒 績み手7000人 織り手1000人 年間45万反 売上6億円という盛隆を極めていた産業が 昭和59年には業者が5軒となってしまい 現在では静岡県において実質3軒の業者しか残っていません。
色紙掛けやハンドバックなどを手掛ける川出幸吉商店 カーテンの輸出 バッグ 暖簾などの製作販売をされる小崎葛布工芸 そして本品の製造元であり 和装品製造を中心とする大井川葛布 この3社のみとなっています。
6,000年の時を超えて今なお人々から愛される古代の自然布「葛布」経糸には赤城座繰絹糸を配された軽くて強く そして適度な張りのある風合いがオールシーズンのご着用を可能とします。銀鼠色の濃淡と糸繋ぎの結び目の節が何とも言えない表情をかもし出し 様々な色柄のお着物と自在にコーディネートしてお楽しみいただけ 粋なお洒落さを漂わせます。
手仕事の技が天然の趣きを余すところなく伝えてくれ 正に贅沢の極みと言っても過言ではない希少な工芸品です。
※経糸と緯糸の一部には琉球藍で染められた赤城座繰の絹糸が用いられています。
滅多にお目にかかることのないレアなお品が人とは違った着姿をさり気なく演出してくれますので お目に留まりましたら是非お手元にお迎えくださいませ。
殆ど流通していないお品ですので参考価格は申し上げにくいのですが 仕入原価から推測すると一般的な呉服屋さんで50万前後、展示会であれば80万前後ではないでしょうか。
本品は11/1(月)10時迄の期間限定販売ですのでお見逃しのなきようお求めください。
※写真と実物とはモニターや画像処理の関係上、若干異なる場合がございますので予めご理解ください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページに設置のオプションからそれぞれの項目をご注文と同時にお選びください。
【お仕立てについて】
※本品はオールシーズン着用可能なため 通常の帯芯(袷用)を使用させて頂きますが夏をメインでお使いになられる場合は夏用帯芯もございますのでお仕立てをご依頼の際 フリー記入欄に「夏用帯芯希望」とご入力ください。
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てる
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけない
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て
※裏地の色はお任せになります。
(帯ガード加工)
・雨やお食事時にも安心のガード加工:3,240円
※国内手縫い仕立てです。
======================